河合町 国に先がけ小中35人学級実施へ

投稿者: | 2021年5月18日

坂本 博道(河合町議会議員)/

河合町は、3月定例議会で、政府決定に先駆け2021年(令和3年)度から町独自の政策として、小学校全学年35人学級に移行する方針を打ち出し、4月から実施されています。

今回の河合町の取組みの特徴

取組みの特徴として、
① 国の方針に先駆け、政策として小学校6年生まで全学年を35人学級とすること。その際、特別支援学級の生徒も含め、原則35人学級とすること。
② 町単独予算で2名の講師を採用して加配すること
があげられます。

国は、コロナ禍のもとで、国民、教育関係者などの世論に押され、小学校の学級編成標準(40人、小1のみ35人)を2021年度から5年間かけて、全学年35人に引き下げる法改正を行いました。小学校全学年の学級規模の一律引き下げは、実に40年ぶりです。県内の自治体でも独自に少人数学級制を実施しているところもありますが、コロナ禍と国の新しい方針の実施時期に、国の方針に先駆けて制度として全学年35人学級制を実施するとしたことは意義があると思います。

 また、後日の町長との懇談の際に、「中学校も原則として35人学級を目指しており、実態はそうなっている」と表明されています。中学校については、現時点では公式な見解は出されていないため、この点での今後の取り組みも重要です。

特別支援学級の生徒も含め35人学級に

 河合町では、小中学校の学級編成について、インクルーシブ教育として、特別支援学級の生徒も含め編成されています。しかし、学級数については、通常学級の生徒を基準に40人学級制として編成されるため、実態は40人以上になるクラスが発生することがありました。2018年4月に第2中学校の1年生のクラス編成で、43人・44人の学級でありながら、支援学級の生徒8名を除くと40人以下になるということで2クラスとなり、教室の柱が邪魔で先生から子供の顔が見えないなどの事態が発生しました。その際、新日本婦人の会、共産党で改善要望を行いました。それ以後、少人数学級の課題では、特別支援学級の生徒も含めた改善を求めてきました。

今回の河合町の独自施策の中で、「原則として特別支援学級の生徒も含む」としたことは意義があると思います。「原則として」とは、今回合計で36人のクラスになるクラスもあったが、現場の先生と話し合い生徒にとってどうかの判断で、35人を超える場合もあるということです。

町単独予算で2名の講師の確保

 各地の自治体で少人数学級を実施する際に、教員の数を増やさない場合も多く、実施には教師への荷重な負担となることも多くあります。今回、町単独で2名の講師を確保するために、令和3年度予算で約800万円を予算化したことは意義があります。しかし、実際には人材確保は厳しく、その要因には、県の加配教員に比べると身分補償が悪いことあるようです。結局、通常学級・支援学級・加配講師を含め、全体でやりくりしながら運営するということです。教育の質の確保と教員の労働の改善のためにも、体制確保は引き続き重要な課題です。

 なお、費用については、令和3年度当初予算で確保されましたが、後日「新型コロナ対策第3次補正予算」を活用するとのことで、振り替えられました。来年度以後も講師確保を継続するためには、予算の確保が必要となります。

運動としての経過

少人数学級への要望は、自治体キャラバンや、議会での一般質問、時々の要請行動など取り組んできました。その上で、昨年からの新型コロナウィルス感染症の発生と教育への影響が、実施への大きな要因となりました。

昨年7月には、学校再開後のコロナ禍の下で、密を避けゆとりある教育のため、具体的に40人以上になるクラスを示し、改善のための緊急要望を行いました。昨年度、町内の第2小学校で、実際に40人になっている学級が5年生で1つ存在していること。また、2年生は、当時は3クラスで30人未満(小学校2年生は、毎年の国・県の予算措置で35人学級)が令和3年度に3年生になり、40人学級基準となると、40人以上となる。コロナ禍の下でずっと密な状況が継続することになり、その改善の必要性を強く求めました。

昨年9月定例議会では、国に向け少人数学級を求める意見書を全会一致で採択するとともに、町独自の改善も求めてきました。また、県に対し今井県会議員とともに、教員の加配の改善を要望してきました。まさに、今回の改善は、世論と運動の成果です。

今後の課題

当面、以下のような取り組みが必要ではないでしょうか。
① 国の制度として、中学校も含めて当面35人学級の早期実現の運動を進めること。そして、20人程度の制度をめざすこと。
② 県の教員の加配制度を独自施策として改善させること。
③ 教育をめぐっては、タブレットを全ての生徒に配布し、G I G Aスクール構想の実施を進め、教育の中身が大きく変えられようとしています。より良い教育を実現するために、地域での運動をさらに進めること。

新型コロナウィルスの感染拡大が止まらず、新たな変異株は子供たちにも影響が大きいと言われています。また、教育への影響も懸念されます。今後、感染症対策としても少人数学級の役割は一層重要です。地域から、子どもたちの未来に関わる運動の前進が求められます。

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