梅雨空に『九条守れ』の女性デモ

投稿者: | 2021年4月22日

4月3日(土)午後、「あれから7年、『九条俳句公民館だより不掲載事件』はどう現場で生かされているのか。~ 4・3「市民検証委員会」報告書完成の集い~」がさいたま市内で行われました。関心があったので、Zoomで参加しました。
 「九条俳句公民館だより不掲載事件」とは、俳句サークル会で選出された女性の俳句「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」が、2014年6月「公平中立の立場から好ましくない」との理由でさいたま市立三橋公民館が「公民館だより」に掲載を拒否しました。従前より同館内俳句サークル会で選出された俳句はそのまま「公民館だより」に掲載されていましたが、この俳句については掲載を拒否しました。その後1年間にわたる話し合いでは解決しなかったため、女性は「憲法が保障する表現の自由の侵害に当たる」として損害賠償などを求めて市を提訴。18年12月最高裁は、「女性の人格的利益の侵害に当たる」、掲載拒否に正当な理由はないとして、市に5000円の賠償を命じた東京高裁の判決を支持し、東京高裁の判決が確定しました。市は女性に謝罪した上で、19年2月号に俳句を掲載しました。

 この事件は、俳句を受取った公民館側が公民館の設置の趣旨に照らして仕事をしていれば、起きるはずのない事件であった。それで、「責任の所在を明らかにし、再発防止策を講じる第三者委員会」の設置を市に要求したが実現しなかったため、19年9月市民と学者、弁護士らで構成する「市民検証委員会」を立ち上げ、この事件がなぜ起こったのかの調査と解明に取り組んだ。市側の協力が得られない中で、情報公開等を利用してこのほど報告書を完成させたということです。

報告書は事件再発を防止するための提言を5点にわたって提示しています。
1. 職員が社会教育職員としての専門性を発揮できる環境を整えること
2. 公民館運営に参加と自治の原則を貫くこと
3. 教育委員会が再発防止策をまとめ、市民に公表すること
4. 市長は関係者の処分を行うとともに、上意下達的な行政システムを 見直すこと
5. 市議会は二元代表制の原則に立ち返り、市政のチェックをしっかり 行うこと

なお、詳細は報告書をお読みください。報告書は1部500円で販売されています。

報告書完成のつどい」では、参加者から歓びとともに次のような発言がありました。
・裁判では、26条の背後にある権利として学習権が認められた。
・公民館は公的な場、ともに学ぶ場だ。場所を提供するだけの場ではない。
・社会教育職員として能力の発揮できる職場をつくる。
・公民館運営には参加と自治が必要。
・担当者がまともならこんな事件は起こっていなかった。しかし、担当者は現在小学校長に出世している。
・よりよい社会教育、民主主義のために、どう建設的にやっていくのかが報告書に書かれている。
・この報告書を配布しに公民館を訪問している。いろんな反応があって面白い。
・最初の誤りを誰も正さない。そのまま流れに流されて、4年間も闘わなければならなくなった。
・この判決をどう市民、職員の常識にしていくのかが大事。
・いい仕事をしてくれた職員には感謝を。職員を勇気づける、応援することも大切だ。
・怒りのない闘争はダメ
・「コロナ越え 芽吹き根を張る 九条俳句」

この事件の後も、「愛知トリエンナーレ2019:表現の不自由展」補助金不交付問題 、第57回自治体学校・石川県MICE助成金不交付問題、日本学術会議会員任命拒否事件が続き、思想、表現、学問の自由が脅かされ続いています。日本国憲法を議論する、守ろうと言うこと自体が、政治的だと忌避される、攻撃される世の中になっています。まして公務員には憲法尊重擁護の義務があるにもかかわらずです。
 訴訟をすると決意して闘った原作者の勇気、それを支えた句会仲間、学者、弁護士等の人々の努力に頭が下がります。                                       (城)

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