なら歴史芸術文化村、天理大学附属天理参考館を見学

投稿者: | 2022年12月17日

 11月16日、4名の参加者で2つの施設を見学しました。まず、なら歴史芸術文化村に集合しました。この施設は今年3月21日にオープンしたもので、文化財修復・展示棟、芸術文化体験棟、交流にぎわい棟、情報発信棟があり、隣接して民設民営のホテル(土地は県有地)があります。総事業費約100億円、PPP(官民連携)で指定管理者(株式会社3社のJV)が運営の一部と維持管理をしています。

道の駅 なら歴史芸術文化村

 文化財の修復はまさに芸術的技術

 文化財修復・展示棟では、木造建造物の修理(県文化財保存事務所)、土器などの考古資料の復元(天理市教育委員会)、木造彫刻の修理(公益財団法人美術院)、絵画書跡等の修理(株式会社文化財保存)が行われており、ガラス越しに作業が見学できます。文化財の修理を見るのは初めてなので、その緻密な長い作業工程を粘り強く行っていることに唯々感心しました。これらの修復作業を経て文化財が引き継がれ、私たちが接することができます。これは一見の価値があります。

木造建造物の修理

道の駅は脇役になった

道の駅は、24時間無料で利用できる駐車場、トイレ、道路や観光などの情報提供に加えて、その地域の地場産品の販売・地域振興が道の駅の特長でしたが、ここの交流にぎわい棟では、地元天理市内の地場産品は少なく、奈良県下全域から集めてきた地場産品が販売されていました。また、近年、道の駅は温泉、レジャー施設、福祉施設等を併設した複合施設へと発展しているようですが、ここの道の駅は複合施設へと発展しているというか、歴史芸術文化村とホテルのために道の駅をうまく利用したということでしょうか。巨額な総事業費約100億円、さらに毎年の指定管理料を考えると、ここの施設は文化財修復・展示棟だけで十分、他はもったいないと思いました。

天理参考館

 黄色に色づいたイチョウ並木を通って、「おやさとやかた」と呼ばれる天理教の巨大建築群に着きました。天理参考館も巨大な建物です。天理参考館が展示しているのは、天理教を海外で布教するにあたって、その土地の言葉を習得するだけでなく、その背景にある人々の考えや生活文化への理解が必要とのことで、国内外から集められた収蔵品です。その数は30万点!

世界中から集めた膨大な数の収蔵品 本物の魅力

「世界の生活文化」として1階は、アイヌ、朝鮮半島、中国台湾、東南アジア、南アジア、中南米から集められた民族衣装、装飾品、人形、玩具、生活用具、神や精霊の像等が展示され、2階は、移民と伝道の様子、日本の生活用品や農機具等が展示されていました。NHK「大黄河」で見た「羊皮いかだ」には感動です。近代化が進むにつれ、日本の物でも見かけなくなったものが多くありました。 各地の生活文化に接することができて、タイムトラベラーとなって世界旅行した気分です。

埴輪男子胡坐像、埴輪武装男子立像

3階は「世界の考古美術」として、日本、朝鮮半島、中国、オリエント、地元天理市布留遺跡から出土した土器、陶器、埴輪、青銅・鉄製品が展示されており、地域、時代が異なっても何か繋がるものがあるのではと暗示していました。

中国とのつながりを思う

 見ごたえがあって、ここまで来るのに相当疲れましたが、やっとお目当ての特別展・天理図書館開館92周年記念展「古典名品展」に辿り着きました。今回展示されているのは、国宝3点、重要文化財10点を含む選りすぐりの名品で、国宝「南海寄帰内法伝」をはじめとする古写本、五山版や地方版などの和本、宋・元・明・清の時代の唐本です。中国の古典は、度重なる戦乱や為政者による禁書などにより、既に中国では亡びて伝存しないものがあり、幾多の危機を乗り越えて大切に守り伝えられた貴重な書物をご覧くださいとのことでした。
 当たり前ですが、書物は全て「漢文」で書かれています。若い時に学習したのに残念ながら読めません。ただ、きれいな字で一糸乱れず書かれているのに感動しました。

 日本と中国は一衣帯水、古来より漢字、宗教、学問、文学などの先進文化が中国より伝来し、昔の人は必死に学んで日本の文化を豊かにしました。近代では逆に日本から伝えた文化もあります。一衣帯水、離れられない関係は昔も今も同じだと思うのですが・・・。               (城)

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