国政と奈良県における「維新」の危険性を深堀する学習会

投稿者: | 2022年5月18日
清水ただし氏の講演の様子

4月25日(月)午後、奈良県教育会館において、「維新」についての学習会第2弾を行いました。学習会は想定以上の約100名もの参加者があり、関心の高さにびっくりするとともに、座席や資料が足りなくなってご迷惑をおかけしました。講師は清水 忠史氏(日本共産党前衆議院議員)、奈良革新懇と日本共産党奈良県委員会との3者共催で行いました。講師の清水 忠史さんは、松竹芸能におられたこともあって弁舌巧み、分かりやすく話されました。

国政における「維新の会」の危険な役割と本質に迫る

昨年の総選挙で維新はなぜ伸びたのか。11→41議席、第3党に躍進した。
①野党共闘の大義と魅力を伝えきれなかったことが、批判の受け皿として維新の会の伸長を招いた。新しい政治を求める声が、2017年は立憲民主党へ、2021年は維新へ行った。
②メディアの影響が大きい。ウソとペテンを含む維新の主張がテレビ等で垂れ流された。批判的検証乏しく、無批判にテレビに登場させ、「よくやっている」感を演出した。イソジンもワクチン開発もどうなったのか。
③権力行使で「実績づくり」 学校給食無料化、私立高校授業料無償化、塾代クーポン・・・。しかし、私立高校授業料無償化(年収590万円以下の所得制限付き)の一方で府立高校を次々と廃止した。塾代クーポンは塾へ行かせることのできる家庭だけにしか恩恵がない。
④知事、市長をはじめ、243人の府内地方議員による宣伝・組織戦で勢いを示し、府民の期待と共感を呼んだ。(維新議員は、大阪府議会48人/88人、大阪市議会40人/83人、堺市議会18人/48人)

清水ただし氏

維新の会とはどういう集団か 大阪で何をやってきたか
①福祉解体
国保料・介護保険料の連続値上げ、住吉市民病院廃止、看護学校の補助金廃止、保健所職員のリストラ、 公営住宅の家賃値上げと落選者優遇制度の廃止、特養建設補助金削減、新婚家賃補助廃止・・・
②教育破壊
 学力テストの公表、国旗国歌の学校現場への押しつけ・君が代口パクチェック、学校長の公募制度導入、公立幼稚園・保育所の民営化、府立高校の廃止、図書館の司書廃止、教育基本条例の制定・・・
③独裁的手法
「住民に命令する立場」、住民でなく首長の意向尊重を強要、思想調査アンケート、入れ墨調査、組合事務所撤去、慰安婦発言・・・
④何でも民営化
地下鉄・市バス、水道事業、学校運営、区役所窓口は民間委託・・・
⑤伝統・文化の切り捨て
府立国際児童文学館の廃止、文楽への補助金削減・・・

大阪「都構想」とは何だったのか
狙いは独裁、大阪市をなくして一人のリーダーをつくる。大阪市の権限と財源をむしり取り、独裁的手法 により巨大開発の推進と市民サービスの縮減をはかるものだった。 2015年反対否決で橋下市長が政治家引退を表明。2020年公明党を屈服させて実施したが再度否決、 松井市長が引退を表明した。

維新政治とのたたかい方 = 維新政治を打ち破る勝利の方程式は何か
①維新を信じている人が多い。事実に基づいた的確な批判を展開し、支持層との矛盾を広げ よう
・「身を切る」の正体は府民の福祉と暮らしを切ることだ。
 急性期病床を2年間で400床削減、保健所は機能不全に。高齢者施設でクラスター発生でも119番対応させず、多くの死者を発生させた。84億円かけた野戦病院・インテックス大阪1000床はほとんど使われていない。なりゆき任せのコロナ対策だ。
・「身を切る改革」はペテン、公金どっぷり、身内に甘い。
本部収入の8割は政党助成金、文書交通滞在費のマネーロンダリング。退職金ゼロもペテンで、給料に上乗せしてボーナス分が逆に増額になった。大阪市の窓口業務はほとんどパソナに委託、コロナ関連の支援金給付事業もパソナに委託。

②「核共有」「改憲」「カジノ」「解雇自由」 ―― これらを問題提起して対話を進めよう
・非核三原則の見直し、核兵器共有、軍備増強、歴史修正主義
・金銭解決による解雇自由化、最低賃金制度の廃止、新自由主義路線の先鋒
・成長戦略は賭博、ギャンブル依存症を増やし、家庭を崩壊し、街の風紀と治安乱す
・カジノIR予定地の液状化・土壌汚染対策に790億円税金投入、・・・・合計額は4000億円以上に
・カジノ年間売り上げ4200億円は眉唾もの  金持ちの外国人は来ない、日本人めあてだ。

③政治と社会を変える「対案型」の政策提示と運動を広げよう
ロシアによるウクライナ侵略  ―力に力ではなく平和外交を
コロナ対策               ―PCR無料検査、公衆衛生体制強化
カジノ誘致、経済問題        ―食い倒れの大阪、中小企業を支援
介護離職で6500億円損失している現状から介護施設増、処遇改善へ

④大阪での野党共闘を発展・強化し、「これなら任せられる」と信頼を得て
・自公政権に代わる政権の受け皿へ、魅力ある政策と対等・平等・相互協力の野党共闘を
・維新の衆議院選挙比例票の推移をリアルに分析 12年1226万票 →17年338万票 →21年805万票
・参院一人区での共闘、複数区では競い合って改憲勢力を追い詰めよう
⑤草の根での「対話の力」維新政治を打ち破る
・二度の住民投票での勝利の決め手は、徹底した「草の根」での「対話の力」だった。
・学習を強め「語る力」を身につけ、周りの人たちに知らせる活動を広げよう。
・維新を分析することにとどまらず、それを打ち破る主体的運動量を引き上げよう。

次に、深澤 司さん(奈良革新懇事務局長)が報告されました。

奈良県の維新をどう見るか
① 奈良県の維新の得票数について、ピークは2012年の衆議員選挙20万7695票(29.41%)で比例第一党になった。その後10万票を割っていたが、2021年の衆議員選挙で18万3357票(28.07%)となった。比例第一党を奪還したわけではない。
② 奈良市、生駒市、香芝市で比例第一党となった。大阪の維新政治の影響が極めて大きい。
③ 奈良県内の市町村議会で維新の議席があるのは10議会、ないのは29議会。定期の宣伝広報活動を行っており、議席数を増やそうとしている。維新の市町村議員は当選1回目が9人(15人中)、20代~40代が9人。「若さ」を売りに地歩を固め、今後も勢力拡大を図ることが予想される。国、県、市町村議員が一体となって組織的に選挙戦を行っている。
④ 奈良県や市町村の住民要求や困難な実態に即した政策の地域色が薄い。ただ、大阪の「身を切る改革」のキャッチフレーズは浸透し、何かをやってくれるのではないかという期待となって投票行動に表れている。

最後に、多くの方から質問、意見が出ました。その一部を紹介します。

・維新は、高齢者と若者、公務員と民間労働者とを分断対立させ、憎しみを増殖させた。
・この物価上昇時に、維新は年金減額に反対しない。
・冨田先生は、中堅サラリーマン層・自営上層の「勝ち組」に維新の支持基盤があると分析しているが…。
・維新は責任をとらない。言ったもん勝ち、やったもん勝ちだ。マスコミも追及しない。
・維新批判だけでは当方の支持は広がらない。批判の先の対案が必要だ。ウソを見抜き、対話し対案を出す。
・ナチスはテレビを宣伝に利用した。
・都構想反対の時、市民が自主的に自分の声を発表した。

(文責 城)

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