第62回自治体学校Zoom分科会・講座等

投稿者: | 2020年8月15日

zoom分科会・講座等が、8月1日、2日、8日、9日に開催されました。当研究所では、個人受講をされない方を対象に奈良自治労連事務所をお借りして、7分科会・講座で集団受講しました。会場ではパソコン画面では小さくてよく見えないので、プロジェクター、スピーカーを使用しました。
 7分科会・講座に、のべ30名が受講しました。受講者からは、「よかった。」「2時間では短い。議論が深まらない。」「遠くに行かなくてもいいので参加しやすい。もっとやってほしい。」「初めてたくさんの分科会に参加できた。」「コロナ対策は、憲法13条、25条の全面実践の場だと分かった。」・・・等の意見感想が出されました。

Zoom分科会を集団受講する様子

次は、4分科会に参加された八尾春雄さんの感想です。(ブログより一部抜粋)

毎年研修のために参加している自治体学校が今年はリモートで開催することに変更されましたので、大和郡山市のとある事務所をお借りして集団でリモート参加と相成りました。  

 冒頭が、奈良女子大中山徹教授によるまちづくりに関する講演でした。小学校区単位で歩いて行ける距離に生活に必要な施設を整備することがこれからのまちづくりの基本になると力説。指定管理者制度の導入で、「民間活力の利用」という名で地域の課題を資本の論理に委ねる危険を指摘。議会活動での発言に重なるもので納得しました。広陵町で小規模事業活動推進の条例制定にも応援していただいた先生だけに親しく受講しました。
 午後からは自治体の予算・決算に関する立命館大森裕之教授の講演でした。地方交付税と臨時財政対策債について「煙にまかれるような」(私の率直な印象です)解説に唸ってしまいました。9月議会では令和元年度決算審査特別委員に選出される予定であり、森先生の最新の研究成果も生かした審議に努めようと意気込みが出てきました。唯一の欠点は時間配分のまずさであり、あんな調子では大学の講義にはまずなじみません。話がよかっただけに残念なことではありました。・・・・
 昨日に続き2日目の講義は、「防災」と「医療体制の強化」です。防災では避難所の事を話題にする前に災害を発生させないようにするための行政のありかた(河川改修や土地の開発に関する規制)が前提との講義です。なるほど言われてみればその通り。  午後の講義は新型コロナウィルスに関するPCR検査を面で実行して感染の実態を把握する事や休業を求めるなら補償をセットにといった主張にいかに根拠があるのか確信になりました。
 2日間で4本のテーマ8時間の受講、2冊の書籍を入手して参加者交互の交流もできてよかったと思います。政務活動費を有効活用して研修した値打ちを9月議会で示したいですね。・・・

第62回自治体学校Zoom分科会に参加して
             副理事長・御所市議会議員  川本 雅樹

毎年、自治体学校に参加することを楽しみにしている。しかし、今年は新型コロナ感染症のために広島での一堂に会しての集会形式は中止になった。残念・・。

その代わりに記念講演と緊急報告はDVDの送付で、分科会と講座は8月1日、2日、8日、9日の4日間のZoom参加・個人受講となった。場所の移動もなく、自宅から参加できるので可能な限り参加したいと思い、事務局に申し込んだ結果、申し込む時期が早かったのか、7つの分科会に参加できた。御所市の行政課題にも参考になるものばかりで、そのテーマと講師は以下のとおり。
①公共施設の統廃合、民間委託の現状と対抗軸(中山徹さん)、②自治体財政の知識と応用(森裕之さん)、③災害問題と行政等の役割(磯部作さん)、④コロナ禍で地域医療は大丈夫か?(長友薫輝さん)⑤保育・・コロナ禍から見えてきたこと(藤井伸生さん)⑥水は人権「水道の目的は憲法25条・生存権の保障」(橋本淳司さん・近藤夏樹さん)、⑦コロナショックと地域経済(大貝健二さん)
⑦は所用により途中で退席したが、①~⑥はすべて参加した。Zoomを使っての分科会は初めてであったが、パワーポイントの資料を映し出すことも、それを手元で大きくすることも可能で意思伝達のツールとしてはなかなかの優れものと思う。

Zoom分科会で発言する川本さん

さて、内容について述べようと思うが、それぞれの分科会のことを万遍なく網羅的にその論点を書いたものか、それともいくつかの分科会のことを重点的に書いたものか、大いに悩むところだが、今回は①と②の分科会について後者の方法で進めたいと思う。

①では、次のことが印象に残った。すなわち、ほぼすべての自治体が「公共施設等総合管理計画」を策定しているが、総務省の指針もあって、「公共施設の統廃合を通じて、面積を削減しながら、建て替えを進める」としている。しかし、削減の方法は、面積の削減よりも長寿命化の方がコストを下げることができる。具体的には、35年で更新するよりも、35年で大規模改修をして、65年で更新する方が安い。なお、長寿命化とは、維持修繕工事とともに耐震改修やバリアフリー化をすることだが、定期的な点検や修繕は地元建設会社の仕事になる。

次に、人口が減るからといって公共施設も減らしていいものか、どうか。公共施設は内容と配置が重要で、日常生活圏を単位として整備する必要がある。すなわち、小学校区を単位に保育所、幼稚園、小学校、街区公園、近隣公園、介護保険施設・事業所、障害者施設・事業所、コミュニティセンター、図書館などを整備する。これらの公共施設が整備された日常生活圏は、子育てしやすい、年をとっても暮らし続けられる地域といえる。人口減少、空き家の増大などを逆手にとって、日常生活圏での公共施設整備、防災対策をすすめることを提案したい。

最後に、公共施設や公共サービスが市民ニーズを反映していないのは、行政が運営しているからではなく、参加の仕組みが機能していないためだ。そのためには、行政職員が市民とともに地域で働く仕組みを作るという「地域化」が必要で、公共施設整備運動を通じて、市民の自治能力を上げるという視点が重要。

②では、難解な財政の仕組みをイメージが湧きやすいように「家計」に置き換えて説明。「息子(サラリーマン)夫婦世帯」を自治体、「夫の両親世帯」をにあてはめて説明。歳入は、大きく4つに分けられる。給料にあたる地方税、仕送り(標準分)を地方交付税、仕送り(特定分)を国庫支出金、借金にあたる地方債。そして、地方税と地方交付税を合わせて一般財源というが、この一般財源は使い道が自由で、望む施策を実行することができる。また、一般財源がなければ、特定財源(国庫支出金、地方債など)を受け取ることができない。そういう意味では地方税が重要だが、なかでも市民税は個人の所得にかかっているので、コロナの影響で来年の所得がどうなるか、危惧される。同様に、県民税や事業税も所得の減や法人利益の減に左右されるので、大きく減ることになる。都道府県の税収は景気に弱く厳しくなるが、市町村にも影響してくる。

次に、地方交付税について。これは、自治体の標準的な支出(基準財政需要額)を賄うのに、税金では足りない部分を補うものと言える。また、基準財政収入額は税収の75%+地方譲与税額で、税収の25%は留保財源といわれる部分であるが、この部分は基準財政需要額から除かれているので、税収が増えれば、この部分が増えることになり、税収を増やすインセンティブになっている。

なお、来年は地方交付税が減るのではないかという声があるが、大いにありうることだ。なぜならば、国も歳入が減っている状況で、地方に交付する総額が減る、これを前提に配分するので減ることが考えられるとのこと。実際には、政治的な動きと地方自治体が「ちゃんと財源措置せよ」と、どれだけがんばれるかにかかっている。 最後に、財政状況を見るときに実質収支で見ると、これが赤字になっている自治体はほとんどないが、実質単年度収支で見ると、6割の市町村が赤字になっている。これは上記歳入の4つの内容の他に「繰入金」というのがあるが、新潟市の場合、財政調整基金を取り崩して毎年赤字を補填していた結果、なんとか黒字を維持していたが、平成30年度にいきなり120億円、一般財源が足らないことが明らかになった。なぜ、そうなったのか。実は、5年前から実質単年度収支は-10億円、-10億円、-60億円、-40億円、-20億円となっていた。財政調整基金が底をついたためだが、いずれ破綻することは明らかだったのだ。当局は市民に対して正直でなければならないし、議員も「他山の石」として、学習を重ねることが必要と言わねばならない。

第62回自治体学校Zoom分科会・講座等」への1件のフィードバック

  1. 小林秀穂

    学校統廃合は、絶対に反対です。少人数教育をすべきです。奈良県では、人口が減少している市町村がたくさん存在しています。若い人口を増加させ、県民数の減少を抑えるためにも、統廃合はいけません。また、新型コロナ禍が、いつまで続くかはわかりませんが、コロナ禍による3密を防ぐための考慮をする以前から、避難所が不足しています。これ以上学校数の減少はダメです。

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