第67回自治体学校in東京 

投稿者: | 2025年8月28日

「ともに学ぶ 地方自治が切りひらく 平和で豊かな社会」をテーマに、7月26日~27日に開催されました。奈良研からは4名の会員が現地で学習・交流されました。また、奈良研独自の取組みとして、大和郡山市内でZ00M団体参加し、全体会には7名、分科会「水道広域化と民営化」には5名が集団視聴しました。

Zoomでの集団視聴の様子

初日の全体会には、中山 徹さん(全国研理事長)が「核廃絶と平和・共存に向けた自治体の役割」と題して基調講演されました

2014年の集団的自衛権行使容認の閣議決定、22年の安保3文書閣議決定により、日本は戦争できる国へと飛躍的に進んだ。南西諸島に自衛隊基地が次々と新設されている。馬毛島には自衛隊と米軍の訓練施設が建設されている。戦争を想定した避難計画の作成、有事に備え沖縄県先島諸島5市町村の住民等12万人の九州、山口への避難計画を発表した。軍事産業の育成、防衛予算の急増(建設国債を防衛費に充当、27年度にはGDP比2%)。(戦争できる国づくりの到達点は、下表を参照してください)

このような戦争できる国づくりの下で、自治体の役割は、国の政策から市民生活を守ることだ。地域の平和・安全が、市民生活、地域経済の大前提。戦争できる国づくりと市民生活の向上、地域経済の発展は両立しない。自治体は、国が進める戦争できる国づくりから地域と市民を守る砦になるべき。

沖縄県をはじめとするいくつかの自治体が頑張っている。例えば、有事の際に自衛隊や海上保安庁が使うことを想定する特定利用空港、港湾の指定には、管理者の同意が必要だが、沖縄県が管理している空港、港湾は、沖縄県が同意していないので指定されていない。

核廃絶、平和共存を進める条例の制定も重要。藤沢市の条例では、「市内での核兵器の製造、保有、持込み及び使用に協力しない」と。長崎県時津町、宝塚市、倉敷市等の条例も。
 非核神戸方式のような自治体版非核三原則の実施、自衛隊に名簿を提出しない等の施策もある。自治体が政府に協力しなければ、戦争できる国づくりは実現できない。国を変えつつ、自治体も変えていこうと話されました。

自治体研究社の新刊

田中 熙巳さん(日本被団協代表委員)が、「被爆80年、核兵器のない世界の実現をめざして」と題して記念講演されました。ノーベル平和賞を決めるのはノルウェー政府。ノルウェーはNATO加盟国、アメリカの核の傘の下、アメリカに楯突くことはない。被団協は平和賞を受賞することはないと思っていたが、平和賞を受賞した。世界情勢の緊迫がそんなことを言っていられない情勢になっていると判断したのだと思った。

長崎で被爆して、一瞬にして何万人の命が奪われた。核兵器は通常兵器とは質が違う、絶対に使ってはいけない兵器だ。核抑止力とは核兵器を使うことを前提に持っている。国際法違反だ。核兵器で利益を得る者がいる。その者等は戦争の前面には出てこない。

アメリカ占領軍がいた7年間は原爆のことを話すことができなかった。ビキニの水爆被爆、原水禁世界大会(初回)を経て、再び被爆者をつくらないために、1956年に被団協を結成した。

お二人の講演の後、リレートーク「地域と自治体 最前線」として、

「東京のまち壊し やりたい放題の、都民軽視の開発」として、カジノIRを誘致して臨海部の大開発を行おうとする都の動きを批判。超高層建築物で生活の質や住環境が向上した事例はほとんどない、「過密」ではなく「適密」を考えよう。家庭科では「衣食住」の中で、「住」に関する教育が乏しい。住まいのあり方だけでなく、日照・通風・緑地・交通など、まちの環境にまで学びを広げる必要がある。

「会計年度任用職員の雇止めとの闘いとこれから」「検証と提言 能登半島地震」の報告がありました。

2日目「水道広域化と民営化 広域水道に住民の声はとどかない」の分科会では、
奈良市水道労組は、県域水道一体化に対して、大正より先人が守ってきた水道(水源)を大切にしたい思い、職員の身分移管・転勤への不安、財政SIMの検討により、一体化反対の立場で運動した。そして、奈良市が一体化への参加を見送る決定を行ったことを報告されました。

中谷・丸亀市議会議員は、全県一水道の香川県広域水道が2018年設立、10年後の28年から水道料金が統一、一会計になる。香川用水施設の整備事業費が大きな負担になっている。企業団議会は年2回、短時間で終了し、住民から遠ざかり、見えない、声が届かない、かかわれない状況だ。自分の町の水道がどうなっているか知り、働きかけていく住民側の取り組みが求められる。コンセッション方式へ段階的に移行させる手法であるウオーターPPPへの動きにも注意したいと報告されました。

 名古屋市水道労組は、のべ1,000名が災害派遣で能登へ行っている。調査、給水、応急復旧に。派遣元の課題として、職員が少ない、通常業務ができない、車両資機材の持込み等を上げられました。

江原・大阪自治労連公営企業評議会は、大阪広域水道企業団の現状として、統合済19団体、新たに検討中4団体。市職労の交渉には、上部団体として大阪自治労連も参加。「市民の会」と連携して、緊急宣伝もしてきたと報告されました。

なお、来年は、7月11~12日に大阪市で開催されます。               (文責 城)

【資料】戦争できる国づくりの到達点と憲法の蹂躙状況 (中山徹先生の講演資料より抜粋)

 項目    従来の政策・主張  ⇒   現在の政策、主張

集団的自衛権  行使できない ⇒ 安保法制:一定の条件下で講師可能(2015)
戦力不保持   自衛隊は専守防衛かつ必要最低限 ⇒ 安保三文書:敵基地攻撃能力を保有できる(2022)、南西諸島のミサイル基地化。特定利用空港・港湾の指定(2024):民間空港・港湾の軍事利用
土地利用規制  公共の福祉の視点からの規制 ⇒土地利用規制法(2021):防衛的視点からの土地利用規制
恒久平和  平和のうちに生存する権利 ⇒有事の際の避難計画作成(2022)、避難シェルターの整備(2024)
自衛隊と米軍の関係  自衛隊の自立 ⇒統合作戦司令部の設置(2025):在日米軍との一体化、能動的サイバー制御法(2025) :アメリカの世界戦略の一環
武器輸出  武器輸出三原則:原則として武器輸出できない ⇒防衛装備移転三原則(2014) :戦闘機の輸出が可能(2024)
軍事研究  大学は軍事研究にかかわらない ⇒安全保障技術研究推進制度(2015) :防衛装備庁が大学向けに研究費助成
地方自治  国と自治体は対等平等 ⇒地方自治法改正(2025) :国の指示権を明記、国と自治体が主従関係
通信の秘密 表現の自由、通信の秘密を保障 ⇒刑事デジタル法改正(2025) :警察等によるデジタル情報の収集をより容易に
経済活動の規制 公共の福祉の視点からの規制 ⇒経済秘密保護法(2025) :防衛的視点からの規制
学問の自由  政府は学問に介入しない ⇒日本学術会議法改正(2025) :政府が学術会議の人事に介入
防衛費の増額 GDP比1%以内、防衛費を国債で確保しない ⇒GDP比2%(2022) 、建設国債を防衛費に充当(2023)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です