水道広域化と葛城市水道事業の将来(シンポジウム)

投稿者: | 2020年2月4日
3月2日、葛城市内でパネルディスカッションが行われました。「県域水道一体化」に驚いた葛城市の住民の方が「葛城市の水道を守る会」を結成して開催したパネルディスカッションです。奈良自治研が後援しました。 当日の参加者は80名。パネラーは、植本眞司さん(自治労連、近畿水問題合同研究会事務局長)、小峠憲司さん(奈良自治労連特別執行委員)、谷原一安さん(葛城市市議会議員)です。

植本さんは、「水道の民営化、広域化~水道法改正と持続可能な住民本位の水道」を講演しました。政府の進める民営化、広域化しか水道危機の打開策がないのかの検証と他の方法がないのかの模索が必要とし、水道情報の市民提供、地形・産業構造に見合ったまちづくりとそれに伴う水道施設の再編、税財源を水道に投入できるよう政治の転換、現場を知る職員の増員が必要と話されました

小峠さんは、「奈良県の水道広域化と県域水道一体化の問題点」を講演しました。市町村の自己水源を取り上げて県水一本にするのは、県営水道の給水量確保、経営安定のためではないか。市町村の浄水場を廃止し、奈良市緑ヶ丘、県桜井、県御所の3ヵ所に浄水場を集約して長距離の送水管で送水する、これで大規模災害を乗り越えられるのか。住民の命の水を守るのは自治体の責任、しっかり議論することが大切だと話されました。

谷原さんは、「葛城市の水道事業」を講演しました。県下で1、2の安い水道料金、安定的な経営、施設更新の収支見通しを説明し、葛城市水道は地震や渇水などの様々な災害に対して被害を軽減できる配水形態であり、先人の業績であり、市民の貴重な財産である。守っていこうと話されました。

奈良県は、H31年度に県域水道一体化に係る協議会を設立し、H32年度に一体化に係る覚書を締結するスケジュールを立てています。既に自己水源を廃止して県水100%導入を決めた自治体もありますが、まだどうするか未決定の自治体も多くあります。

水道は先人から受け継いだ貴重な財産、命の水です。水道はどうあるべきなのか、議論していきましょう。この1年が大きな山場です。