奈良自治体問題研究所第27回総会 記念講演 冨田宏治氏(関西学院大学法学部教授)の講演要旨を紹介します。
総会記念講演には、会員 15 名、一般4名の計 19 名が参加しました。 冨田宏治先生は、日本政治思想史が専門で、大阪自治体問題研究所理事、全国革新懇代表理事、原 水爆禁止世界大会起草委員長をされています。 自民と公明が分かれたが、街中に自民のポスター貼っている?これで、誰がこれまで自民の選挙を 支えてきたか分かるはずだ。高市首相の 人気が異常に高いが、一寸先は闇、政治 が読めない、何が起こっても驚かない状 況だ。鹿、排外主義・・・、民主主義の 劣化が激しい。その最前線が地方に現れ ている。大阪、兵庫、そして奈良でもだ と話して講演を始められました。

高市首相が直面するジレンマ
アキレス腱は、裏金・統一教会、靖国参拝・歴史問題、排外主義
らしさを貫けば、公明の連立離脱、連合の反発(→国民民主との連立不可)、韓国中国の反発
らしさを封印すれば、戻り始めた岩盤保守層への裏切りとなる
助け舟を出したのは維新 議員定数削減、医療費削減、九条改憲、スパイ防止法・・・で合意
物価高対策するには円高が必要なのに、積極的財政 ⇒ 円安 ⇒ 物価高を招こうとしている。
自分たちの苦しい生活をもたらしたものは? 自己責任論 ➡ 誰かのせい
高学費、非正規、低賃金に苦しむ10代、20代、30代の若者層 就職氷河期で思うような人生を歩めなかった40代、50代のロスジェネ世代 今までは、自己責任論で納得させられてきたが、いつまでも自己責任論が通用するものではない。それでは誰が悪いのか。犯人を捜し始めた。
➡自民党のせい
➡年寄りのせい 医療費の負担が大きい、尊厳死の法制化 = 年寄りを殺せ 手取りを増やせ = 社会保険料下げろ(給料上げろではない!)
➡女のせい、ミソジ 性暴力を振るうものがTVに出られなくなった その反発が蓮舫、山尾へ
➡外国人のせい (労働力不足を補う、インバウンド・・本来は安倍政権のせいだ)
「岩盤保守層」とは何者か
安倍政権の連続勝利はこの保守層を掴んだからだが、この層は正体が掴めない。ネトウヨ、宗教右派(日本会議、統一教会)などで1000万人。自民党の議員、議員秘書、一般党員、堅い支持層の一定割合を占める。結束するイシューは、伝統的家族、改憲、男系男子天皇、外国人排斥、反緊縮。
小泉構造改革で自民党の保守層が潰れていったが、代わって岩盤保守層が出てきた。自民党は極右に入れ替わった。
安倍政権の崩壊により岩盤保守層が自民党から剥がれ落ちた
安倍に代わるヒーローを探し求めて、2024年から、石丸(都知事選挙)、高市(自民党総裁選挙)、玉木(衆議院選挙)、斎藤(兵庫県知事選挙)へと次々と対象を変えながら動いた。
2024衆議院選挙 自民 ➡参政、保守へ125万票
2025参議院選挙 自民、維新 ➡ 参政、国民、保守へ1000万票強
<藤川晋之助流のSNS戦術>
短文ポスト、ショート動画の活用、リポスト、切り抜き動画、人材サイトで高報酬で募集した「切り抜き職員」を組織化した。
<アテンション・エコノミー>
フィルターバブル(見たい情報はフィルターを通過し、見たくない情報は排除)とエコ―チェンバー(自分と似た意見や価値観を持つ人々が集まる閉鎖的な空間で、同じような意見や情報が反響し、増幅される現象)
インプレゾンビ(フィルターバブルに便乗して動画の再生回数を稼ぎ報酬を得ようとする輩) 流行れば流行るほど流行るという仕組みを利用している GAFAと同じ! 相手国の民主主義を劣化させるため、外国の諜報機関も関与
政治の分断 世代間分断、ジェンダー分断、外国人排斥
反メディア、反インテリ SNS上のみに真実がある
反リベラル 人権、個人の尊厳、人間の尊厳、平和といった理念への反感
反科学、反知性 ➡ 陰謀論 ディープステイトの陰謀、財務省のハニートラップ 反政治屋 ➡ 反既成政党
国勢調査と選挙結果のクロス分析<日経新聞2025年11月7日記事>
自民党 1次産業地域への依存度高まる 岩盤保守層の誘拐、支持層の高齢化、子育て層の離脱
自民党 ➡ 国民民主党、参政党
自民党は、現場職、派遣職の多い地域で減少
国民民主党、参政党は、現場職、派遣職の多い地域で増加
現場職は高物価と低賃金で苦しみ、派遣職は外国人増加による失職を警戒 若年現場職、若年は兼職の投票率が増加
国民民主党 大卒層の多い地域で増加
参政党 大卒割合が低い地域で増加、1次産業地域で極端に低い
<NHK世論調査2025年8月12日>
国民民主党は、10~50代、特に10~30代の支持率が高い 女性より男性の支持率が特に高い 参政党は、国民民主党と同じだが、40~50代も高い 女性より男性の支持率が特に高い

宮城県知事選挙で示された参政党の破壊力
参政党の支持者は、①反ワクチン・オーガニック・スピリチュアル・陰謀論から入ったガチガチの信者 8万5千人の参政党員、200万人弱のガチの支持層、②自民党から融け落ちた岩盤保守層、③自己責任論から解放され、陰謀論に目覚めた無関心層からなっている。参政党の言う日本人とは、父又は母が日本人であり、日本語を母国語とし、日本を大切にする心を有することを基準に法律で定めるとしている。愛国心のない者は国民でない。「非国民」の存在を前提としている。治安維持法を公然と肯定。
カルト・反科学・陰謀論のパッチワーク
排外主義・世代間分断・ジェンダー分断とどう立ち向かうか
分断ではなく包摂の政治へ
包摂の理念をどう打ち出すか コモンとケアの両輪、ケア民主主義
包摂の政策をどう鍛え上げるか
包摂の政策をどう伝え広げるか
モデルとしての杉並区政 包摂の政策の可能性

反動ブロックの危険に対決する新たな国民的・民主的共同を
・戦争につながる排外主義に正面から対決する新たな共同を一点共闘として広げていくこと
・自民党政治がもたらした政治の歪みを正し、暮らし、平和、民主主義を擁護発展させる国民的・民主的共同を発展させること
・市民と野党の共闘の成果の上に立って、二つの課題に“二正面作戦”として取り組もう!
・憲法を真ん中に確かな共同を
・路地裏対話、シール投票
・極右との闘いはヨーロッパに学べ!
対話は先ず聞くこと。相手は人に話を聞いてもらったことがないかもしれない。何が困難なのかをていねいに聞くことから始めようと話して、冨田先生は講演を終えられました。
(文責 城)