世界の「いま」と憲法9条~なぜ侵略戦争が始まったのか なぜフェイク報道が流れるのか

投稿者: | 2022年6月20日
講演するフリージャーナリストの西谷文和氏

6月12日(日)午前、奈良市内において、「非核の政府を求める奈良の会」主催の「2022・.6非核平和の集い」が開催されました。ロシアによる核兵器使用の脅迫、これに呼応した「核共有」の策動、核の脅威・恐怖が非常に高まっています。こんな時だから、フリージャーナリストの西谷 文和さんのお話を聞きたくて参加しました。西谷 文和さんは吹田市役所勤務を経た後、フリージャーナリストに転身、世界40ヶ国以上訪問されています。講演では、ウクライナとアフガニスタン問題の後、大阪の維新について話されました。次々と変わる画面で、盛り沢山な内容のため消化不良を起こしていますが、お話は概ね次のようでした 。

ウクライナ問題 話し合いでしか戦争は終わらない

2013年11月から首都キエフの独立広場で、大統領にEU加盟協定書に署名を求める平和なデモが始まり、12月には100万人の大行進となった。しかし、当時のヤヌコビッチ大統領は署名せず、治安部隊を投入してデモ隊を棍棒で殴り始めた。これに乗じて「右派セクター」(反ロシア、民族主義、極右政治、準軍事団体)がデモ隊に紛れ込み、治安部隊と暴力の応酬となった。2014年2月ヤヌコビッチがロシアに亡命し、ユーロマイダン革命は勝利した。その後プーチンは、「右派セクター」はごく少数勢力であるにもかかわらず、「右派セクター = ネオナチ」を利用してロシア系住民に危機を煽り、クリミアを奪い、ドンバスで戦闘になった。
 クリミア、ドンバスにはトルコ系クリミアタタール人が元々住んでいたが、第二次世界大戦中にスターリンによって中央アジアへ強制移住させられた。そのあとへロシア人が移住したので、クリミア、ドンバスにはロシア系住民が多い。また、スターリンはウクライナの穀物を奪ったため、ウクライナでは数百万人の餓死者を出した。そのためウクライナ人には反ロシア感情がある。

 この戦争は長期化する恐れがある。それは、戦争は儲かるからだ。軍需産業、石油業界は戦争特需で潤っている。武器を送り続ける限り戦争は継続する。戦争を終わらせるには話し合いで解決するしかない。憲法9条を持つ日本が仲介に入るべきだ。
安倍首相はプーチンと27回も会合し、同じ夢を見ていると言い、3000億円も経済協力、プレゼントした。この金は軍事費にも使われていると言われている。そして今は戦争を利用して軍事費倍増を叫んでいる。
ロシア人の中にも若者を中心として反戦運動がある。逮捕を恐れない勇気ある行動だ。また、国連外交官や地方議員の中にも戦争への反発が広がっている。この反戦運動への連帯が大切だ。
この戦争はいつ終わるのか。アメリカがどう動くのかが大きい。今秋の中間選挙で、民主党の進歩派が伸びれば仲介に動くだろうし、共和党が勝てば武器の提供が増え続けるのではないか。

アフガニスタン問題 テロとの戦い、中村哲さんの活動

1979年ソ連が軍事侵攻して内戦が激化し、その結果タリバンが政権を握った。2001年アメリカ同時多発テロ事件を受けてアメリカ軍等が軍事進攻し、タリバン政権を倒した。しかし、アメリカが支援する政権の腐敗と内戦により、2021年アメリカ軍が無責任な撤退をして再びタリバン政権となった。 この戦争は誤爆に始まり誤爆に終わった。アメリカ軍により多数の民間人が殺された。また、内戦と経済 制裁、政権の腐敗で人々は疲弊した。 20年に及ぶテロとの戦いでアメリカは8兆ドル(880兆円)もの戦費を使い、戦争で亡くなった人は 多数の民間人を含め90万人にも及ぶと推定されている。結局、戦争で紛争は解決しなかった。

 一方、中村哲さんは、医療活動に加え、水があれば病気と難民問題を解決できると考え、井戸を掘り、用 水路を建設した。荒れ地を緑豊かな農地に変え、20億円で65万人もの生命と生活を守った。農業で平和 を勝ち取ったのだ。880兆円で90万人が殺され、20億円で65万人が生かされた。 憲法9条の価値は外国人も知っている。だから中村哲さんも活動できた。日本をとりまく環境が緊張を増 していると言って、軍事費倍増、核武装を主張する者は愚かだ。日本は空母を保有したが、空母の保有は専 守防衛をかなぐり捨て、先制攻撃をするという意味。GDP2%になれば10兆円、世界第3位の軍事大国に なってしまう。

野党共闘は失敗したのではない 不十分で遅すぎたのだ

立憲民主党は国会議員がつくった政党、地方がないので「連合」に頼らざるを得ない。枝野委員長は市民連合と「連合」の股裂きにあってしまった。例えば「いつまで同じことを言っているのだ」と批判されれば、「共謀罪は反対しないといけないだろう」と強く言い返さなければならなかった。弱気な言い訳をすれば、どっちもどっちと思われて、結局、政権批判票は維新に流れてしまった。

維新のウソを暴け

維新は大阪から勝ち上がってきた政党だから強い。地方議員が230人もいる組織力のある政党だ。万博・カジノで維新、安倍、吉本興業は繋がっている。安倍、松井は右翼つながりだ。森友の小学校設立も大阪府が認可したことから進んだ。維新と竹中パソナは利権でつながっている。大阪市、大阪府の業務委託、派遣職員の多くはパソナだ。カジノ、万博の予想入場者数は超水増しだ。維新のウソに騙されたらいかん。コロナ対策も毎日メディアに出てやってる感だけを出しているが、コロナ死亡者数は全国最悪だ。しかし、在阪メディアは維新政治の実態を報道しない。維新の支持層は40代50代の男性、勝ち組意識の強い人々と言われている。競争で追い立てられて勝ち残っている、そのため競争のない(?)公務員、生活保護への「怒り」が強い。競争社会よりも支えあう社会の方が大切なのではないか。

大阪の政治勢力は、棄権5、維新3、野党2だ。それを棄権4、維新3、野党3に早く持って行かないといけない。そのためには投票率を上げる、棄権している人を投票に行ってもらう努力が必要だ。大阪ではIRカジノ誘致の是非を問う住民投票実施を目指す署名が20万人超集まった。維新は都構想のため2回も住民投票を行ったのに、IRカジノの住民投票は行わないというのは理屈に合わず、自分勝手すぎる。住民投票をしろと強く声を出していかなければならない。今がカジノを止めるチャンスだ。

コロナで明らかになった脆弱な社会

貧困層にコロナが襲いかかった。世界ではわずか10人の資産が31億人の資産より多くなった。これら超富裕層は戦争する企業の株の値上がりで儲けている。だから戦争をしたい。だからマスコミを買収して戦争賛美、ウソの放送を流させている。超富裕層の資産にわずかな税金をかけるだけでいっぱい政策ができる。日本だけが賃金の上がらない、成長しない国になっている。賃金が上がらないのは「連合」の責任が大きい。賃上げはお願いするものではない。勝ち取るものだ。

AかBかではなく、Cがあるはず

消費税増税か社会保障削減かではなく、金持ち増税がある。 民営化、会社化の新自由主義ではなく、今こそコモンの再生が必要だ。

(文責 城)

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