学校統廃合と小中一貫教育を考える(第14回全国交流集会in東京)

投稿者: | 2025年3月15日

3月2日、全国交流集会が開催されました。
 奈良県内でも既に学校統廃合が行われ、小中一貫学校、義務教育学校を設置している自治体もあります。また、学校統廃合を止めようとする運動が現在も各地で起こっています。そこで、全国の情勢を知ろうと、2月号でお知らせしたとおり、奈良市中部公民館で、Z00M集団視聴しました。

切り崩される「公共」に対抗する  学校統廃合と小中一貫校、全国情勢

 最初に、山本 由美氏(和光大学教授)より報告がありました。

2014、15年から政策的にトーンが上がった学校統廃合

2000年から廃校数は高止まりし、年間約450校が廃校となっているが、2014年「地方創生」がスタートしてから、政策的にトーンが上がった。総務省が「公共施設等総合管理計画」の作成を要請、経済財政諮問会議が「学校の適正規模化」を要求、文科省が義務教育学校の創設、単学級以下校の統廃合の適否を指示、通学時間をスクールバス等を用いて概ね1時間以内に変更した。その結果、義務教育学校が増加したが、都会の大規模校と地方の小中学校存続のための小規模校とに2極化した。

学校規模の大小と教育的効果の間には相関関係はないというのが今まで積み重ねてきた教育条理であったが、新たな学び・協働的な学びには一定人数が必要と変えてしまった。これには教育学的検証はない。

地域の合意形成を文科省も強調していた。学校再編、通学条件は子どもの教育権に関わる教育行政の重要事項であるので、合意形成が大切であると言ってきた。しかし、現在、そのような教育行政のルートに乗らない学校統廃合が進んでいる。施設管理、再開発の視点から学校統廃合を進めている。

経済効率性からの学校統廃合 

背景にある「地方創生」、公共施設等総合管理計画、立地適正化計画

これらの基本方針は、施設の複合化、多機能化、集約、長寿命化、そして民営化である。学校統廃合・小中一貫校にして余った土地を企業に貸与する。老朽化施設改修に伴い順次施設一体型の小中一貫教育校にして、コミュニティ施設機能、災害時の拠点機能が融合した複合施設にする。学校三部制(第一部は学校教育の場、第二部は放課後の場、第三部は多様な活動の場)は施設優先、住民の自治なき「公共」だ。

つくば市 義務教育学校計画を見直した!

つくば市は早くから大規模義務教育学校を設置したが、児童生徒、保護者、教員のアンケート調査を含めた検証により、今後建設する場合は独立した小学校、中学校にする、4・3・2制を6・3制に戻すことに決めた。既設の大規模義務教育校に多くの課題があり、児童生徒の不登校率が県内で突出して高かったからだ。

高校再編 産業構造の転換に応じ、次の段間へ

1980年代から都市部では、産業構造の転換に応じた高校制度のスクラップ&ビルドが進んだ。今回の高校授業料無償化では、大量の公金が民間企業が経営する広域通信制高校:・オンラインスクールに流れ込むことになる。また、先行している大阪府では、公・私立間の生徒獲得競争が激しくなっており、府立高校の定員割れ3年連続で廃校対象としている。これは、公教育の切り崩し、公的部門の削減だ。

対抗軸の可能性 ①統廃合を全市的な課題へ 保護者、地域住民が関心を持つように

議会の勢力関係もあって学校統廃合はなかなか止められないが、統廃合をその地域だけでなく、全市的な課題として運動することで止めることができた事例もある。 

香芝市では、できる限りのことをし続けた。署名、ポスター、チラシ、集会、講演、傍聴、陳情・請願、公開質問状、PTAと自治会協力でそれぞれの小学校で説明会を開催させ教育委員会を市民の前に引っ張り出せたことが大きい。

対抗軸の可能性 ②子どもの意見表明権、共同へ 統合後の子どもの状況検証必要

東久留米市、町田市では小学校統合後、大きな「荒れ」が起こった。新宿、渋谷では不登校率が上昇した。土佐清水市の中学校統合で「荒れ」が起こり、それが隣の四万十市で統合反対の保護者らの運動になった。統合後の子どもの状況を検証することが必要だ。

子ども基本法の制定で、子どもの意見表明権が保障された。「全ての子どもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会及び多様な社会的活動に参画する機会が確保されること」、「全ての子どもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されること」「国及び地方自治体は、・・・意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする」

四万十市の子どもたちは、「私たちの中学校を残して、南海トラフ直撃地から安全な高台に移して保小中一貫校に」と意見表明している。これが大切だ。

公共空間が稼ぎの場に変えられる いま公共空間が危ない 東京の再開発

次に、岩見 良太郎氏(埼玉大学名誉教授)が、再開発に狙われている学校、公園、図書館、文化ホール等の実態を報告されました。小学校を再開発区域に入れ、完成した超高層ビルに小学校を移設し、屋上をグラウンドとして利用する。”グラウンドは土だろう!” 授業時間外に、そのグラウンド、体育館、プールを有料で貸し出す。再開発のため学校を地区外に移転させる。公園を削り超高層ビルを建設する。公園を上空に持ち上げ、公園下にビルを建設する。学校も公園も公共空間が大手民間企業の稼ぎの場に変えられる。

お二人のお話の後、各地の統廃合反対運動、「プール廃止、水泳指導の民間委託」反対運動の報告がありました。いずれも統廃合は教育的視点を欠いた補助金誘導のもので、これに抗するには広く地域住民に知らせて大きな運動にするしかないということです。           (文責 城)

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