第68回自治体学校in大阪 第3分科会 に参加して 川本雅樹(御所市議会議員)
今回、私は上記の分科会に参加しました。助言者は、岡田知弘氏(京都橘大学学長/京都大学名誉教授)です。岡田氏は以前から存じ上げていましたが、久しぶりのご講演に胸躍るものがありました。
最初に、今の時代を「大災害と戦争の時代」と喝破されました。この自治体学校は7月11日と12日の2日間で行われましたが、16日後の2026年7月28日には震度7の熊本地震が発生しました。まさに大災害の時代です。また、米露二大帝国による侵略戦争が現に行われていますし、ホルムズ危機が勃発しています。住民の命と基本的人権の尊重や国土及び地球規模での自然環境との共生をいかに図っていくか。これらの重い課題が、国だけでなく、地方自治体とその首長、議員、職員、そして主権者である住民、経営者に突き付けられている。対抗軸は憲法と指摘されました。
1「地域」からものを見ることの重要性
「地域」とは、特定の自然条件を基礎にした「人間の生活領域」と「資本の活動領域」で、「地域」があってはじめて国や世界があり、その逆ではない。日常意識の錯覚がある。
現代では、経済のグローバル化のなかで両者が大きく乖離し、矛盾を深めている。重厚長大企業、自動車・IT家電企業の海外生産シフトと産業「空洞化」問題が激化している。
2 誰が、今後の地域の経済、住民の暮らしを担うのか
●グローバルに自由に移動できる多国籍企業に対して、地域には固着した住民・企業・産業がある。地域社会を維持する最大の経済主体は、中小企業・業者、農家、協同組合、NPO、そして地方自治体で、それらの再投資力をつけることこそ重要。
●その戦略的連携のための重要な手段として「中小企業振興基本条例」への注目。2025年11月時点で、756市区町村(44.9%)で制定済み、46都道府県で制定済み。
3 地域を豊かにするとはどういうことか
●高度経済成長期以来、「大型公共事業+企業誘致政策で地域活性化」論が「常識」化しているが、なぜ、従来の大型公共事業+企業誘致型地域開発政策ではうまくいかないのか。大型公共事業は、地域経済への波及効果が少ない上、地方財政を悪化させる。企業誘致に成功したとしても、利益は本社に移転、地域内に循環せず。また、立地しても撤退・縮小のリスクが伴う。
●地域が豊かになるとは、住民一人ひとりの生活が維持され向上すること。上記の地域内経済主体が毎年、地域に再投資を繰り返すことで、そこに仕事と所得が生まれ、生活が維持、拡大される。
●地域内での取引網を太くし、地域内経済循環をつくれば、多くの住民の生活向上につながる。六次産業化による付加価値づくり。その担い手は中小企業・農業者、各種法人。資金・所得の循環、物質・エネルギー循環、人と自然の循環が大切。
●地域産業の維持・拡大を通して、住民一人ひとりの生活の営みが豊かになり、地方自治体の税収も増える。
●地域内の再生産の維持・拡大は、生活・景観・町並みの再生産につながるうえ、農林水産業の営みは「自然環境」の再生産、国土の保全につながる。
4 地域経済の持続的発展のカギを握る中小企業
●中小企業は地域における経済活動、社会的活動、コミュニテイの担い手、地域文化の担い手、防災の担い手でもある。
5 中小企業・小規模企業振興基本条例を活用した地域づくり
●地域経済、地域社会の担い手としての中小企業の役割の明確化
●特定中小企業の保護・助成政策ではない、中小企業振興と地域づくりの一体的把握
●中小企業の役割に加え、大企業、金融機関、教育機関、住民の役割の明確化
●中小企業施策の体系化と実施状況のチェック、財政的手当も明記する。
●産業振興会議、中小企業振興会議、円卓会議等、当事者が入った会議体を置く。
(まとめ)
現在、御所市には「中小企業・小規模事業振興基本条例」が制定されていませんが、人口減少、事業承継、人手不足、物価高騰など、地域経済を取り巻く環境が厳しくなる中、個別の補助制度だけではなく、市として中小企業・小規模企業を地域経済の重要な担い手として位置付け、継続的・総合的に支援するための基本条例を制定する必要があると思います。今後、議会でもこの課題をとりあげていきたいと考えています。