第68回自治体学校in大阪に全国から900名以上が参加して学習交流する
7月11日~12日、自治体学校in大阪が開催され、奈良研からも12名の会員が参加しました
初日全体会は、国指定重要文化財である中之島の大阪市中央公会堂で行われました。この中央公会堂は、1911年、株式仲買人の岩本栄之助氏が公会堂建設資金として百万円(当時)を大阪市に寄付、現在の貨幣価値でいえば数十億円という巨額な寄付金を基に建築されました。実に素晴らしい建築物です。
基調講演は、「平和、民主主義、暮らしを守るために自治体はどうすべきか」として、中山 徹さん(自治体問題研究所理事長、奈良女子大学名誉教授)が講演されました。
自民維新連立政権により平和、国民生活が脅かされるなかで、3類型の困った自治体がある。①駅前開発などの大型公共事業で地域間競争に勝ち残ろうとしている開発型自治体、②いくつかの施策を漫然と進めている停滞型自治体、③国が進める基地建設、原発再稼働等に乗ることで交付金を確保しようとする追随型自治体である。しかし、清瀬市、練馬区、忠岡町のように変化も生まれている。変化を生み出した選挙に共通していることは、①争点は探すものではなく作り出すもの、②住民参加の理念と方法を明確に打ち出す、③投票率を上げることができるかどうかである。

団体自治と公共を、住民自治に依拠して実現するような自治体を「立憲型自治体」とすれば、この立憲型自治体を全国に増やすことができるかがカギとなる。第一段階は、争点の明確化、住民参加の徹底を掲げ、首長を確保し、公約の実現を目指す。第二段階では、自治体の様々な権限を活用し、開発型・停滞型・追随型自治体とは一線を画し、地域の平和を守り、市民生活を向上させ、地域経済の活性化を進める。
①戦争する国づくりに反対し、平和を守る先頭に立つ。自治体が協力しなければ、戦争する国づくりはできない。軍事に利用できる特定利用空港・港湾も管理者の自治体がOKと言わない限り指定されない。②医療福祉の再生と充実 可能な限り自治体の独自施策も行う。③雇用の安定、賃金の引上げ支援、循環型地域経済の創出 地域経済活性化を進める主体は市町村、中小企業振興基本条例等の取り組みが必要。④公共の再生 公共が担ってきたサービスを民間に委ねることが正しいのか、財政が厳しくても公共が担うべき分野はどこか。⑤参加型まちづくりの徹底 地域にとって最も重要なことは、地域の将来を真剣に考え、共同する市民(自治能力の高い市民)
を育てること。まちづくりに関わる中で市民は成長する。自治能力の高い市民を作り出すことが行政にとって最も重要なことだ。
記念講演は、「世界とつながり、行動する ピースボートの取り組みから」として、畠山 澄子さん(ピースボート共同代表)が講演されました。
ピースボートクルーズは日本発着の100日間の世界一周船の旅、77,000トンの客船で年3回世界を回っている。日英中韓の4言語で対応しており、アジア人の乗客も増えている。
過去の戦争を見つめ、未来の平和をつくる
ピースボートは1983年設立の国際交流NGO。1982年の教科書問題 ― アジア近隣諸国への「侵略」が「進出」にと歴史教科書が修正された ― を契機に、それなら、どう戦争に巻き込まれ、どう傷を負って生きているのか、当事者に話を聞こうとして設立された。現在、SNSで流されるヘイト、排外主義にどう対抗するか。それは人と人の交流しかないと、顔の見える国際交流をしている。また、必要とされる物資を届けている。鍵盤ハーモニカ、脚踏みミシン・・・、カンボジアの地雷廃絶キャンペーンでは200万haの安全地帯を創った。一つ一つの募金活動が長く続けば、何かが変わると思う。
絶望の中に希望を 世界は壊れていっているが‥
自分たちのやっていることに意義があるのかと悩み続ける日々だが、世界から見捨てられると思うのが一番怖い、まだ見捨てられていない、細々とでも支援されていることに生きる希望をつないでいる人々がいる。ウクライナ、ガザ・・・、現地には諦めるすべがない人がいる。
被爆者の活動に励まされた。2017年核兵器禁止条約が国連で採択されたが、核大国が動かなくても進めることができると実感した。日々成果が出なくても、やり続けることに意義がある。目の前のことにとらわれない、いつかは動かせると。
人と人は共存できる。話し合いが続ければ、問題は解決できる。
リレートーク「地域と自治体 最前線」では、4名の方が発言されました。
①忠岡町での巨大産廃誘致計画撤回求める住民運動と民主町政の課題
前町長(維新)が泉北環境との広域化の協議を一方的に打ち切り、公民連携で産廃処理する計画を突然持ち込んだ。町のごみ20トンに対して220トンもの産廃処理炉だ。環境悪化を恐れて誘致立ち止まれの署名を10,000筆集めたが、議会で否決された。でも、頑張って2度目の町長選挙で劇的に勝利した。その力で、環境アセス「方法書」への知事意見に「地域住民の理解を得ること」を入れさせた。事業者との話し合いも実現した。しかし、まだまだ困難がある。議会、幹部職員の抵抗、この産廃誘致は議会議決事項だとする町条例だ。これをどう乗り越えるか、行動、学習、反省、行動だ。
②生活保護を担う職場からの報告
被保護世帯の生活状況は、1か月の被服費0円が約半数、1か月の娯楽費0円が約半数、1日の食事回数2回以下が3割以上、エアコンがあってもつけない、外とのつながりがない、外に出たいけどお金がないので出られない、日本に生まれてよかったと思える国にしてほしい、節約のため入浴回数減らしている、楽しみが持てない。・・・健康で文化的な最低限度の生活とは?? 保護費の改善が急務だ
相次ぐ福祉事務所の不祥事 業務量が多く事務処理の遅れや放置、組織的に進捗を把握する仕組みが不十分、利用者との関係に起因する犯罪行為、尊厳を否定する暴言・・・どうしたらいいかわからない、追い詰められるケースワーカー・・・
生活保護担う職場の未来のために 利用者本位の保護の実施、職員配置数の改善が必要
③陸上自衛隊祝園分屯地での弾薬庫新設に反対する運動 京都が戦争しに行く軍事基地にされる! 経ヶ岬の米軍Xバンドレーダー基地、舞鶴海上自衛隊基地にイージス艦配備、祝園弾薬庫の増設。3つの地域から声を京都中に集める。暮らしと両立しえない「戦争しにいく京都」、住民運動としてリアルに声を上げる、住民を守る役割を今こそ自治体に。(文責 城)
第7分科会「学校統廃合、小中一貫教育と学校を守る地域の共同」
最初に、助言者の山本 由美さん(和光大学名誉教授)が「学校統廃合・小中一貫校(義務教育学校)の全国動向」について講演されました。

学校統廃合は2000年頃から増加して高止まり。標準規模(12~18学級)の根拠はあいまいなまま適正規模化。一貫して科学的根拠がない小規模校デメリット論が横行。統廃合を進める公共施設等総合管理計画。2026.3中教審は、「広域化」「総合化 複合化・共用化」「現代化」。
しかし、小中一貫校、義務教育学校には多くの問題がある。5・6・7年生に集中する課題(2013年朝日新聞調査)、つくば市は大規模義務教育学校を進めてきたが計画を見直した。
高校再編が新たな段階を迎えた。高校無償化、新たな科学技術イノベーション、理系人材の確保
学校統廃合にどう対抗するか 子どもたちのため学校を守る当事者としての保護者の運動、地域コミュニティを守ろうとする住民運動との連携、教員・教職員組合との連携、行政への働きかけが重要。
統廃合は子どもにリスクを与える。統合後「荒れた」子どもたちも多い(東久留米市)。「こども基本法に基づくこども施策の策定等へのこどもの意見の反映について」子どもの意見を聴け!
次に要請レポートの報告があり、その後会場から実にたくさんの発言がありました。
・学童保育は統廃合計画から置いてきぼりされている。部屋、遊び場所、通学距離・時間・・
・茅野市では統廃合が一時止まったが、山本先生の講演後に2つの地域で考える会が生まれ、活発に議論し、地域活性化を進めている。学校統廃合の話が地域のあり方や将来を考えるきっかけとなり、地域の魅力を再確認して発信していく活動に発展し、地域の活力が生み出されている。
・豊中市では3小2中の巨大な施設一体型の義務教育学校、複合施設が生まれた。コロナ禍で説明会もせず市民合意を欠いたまま強行。クラスの生徒数が増え、4-3-2制の導入で、5.・6年生で宿泊行事ない、卒業式ない、入学式ない、ステップアップの自覚が持てない・・・、問題が多発
・生駒市の南部での統廃合は中止になったが、次に1小1中の義務教育学校が進められた。義務教育学校の問題点はなかなか理解が広まらず、保護者や地域とつながった運動とならなかった。教育委員や市議会議員への働きがけが欠けていた。義務教育学校になると、教育の自治が学校から奪われる、縦割活動が弱くなる。なお、学校建設費が65億円から101億円に高騰して問題になっている。
・6学級80人の小規模校を視察した。運動会も子ども、地域が協力してやっている。対話がある。小規模校で悪いところは一つもないと実感した。規模の適正化の言葉はまやかしだ。
・4-3-2制が5-4制に変更になった。行事がうまくできなかった。4年生にまとめる力がまだない。
・毎月1回ニュースを全世帯に配布している。全世帯からアンケートを取り、その結果を全世帯に返してもいる。それを継続していると自治会も「統廃合を勝手に決めるな」と動き出した。
・大規模校で不登校、いじめが急増している。本当に大規模校でいいのか。2010年の大津市いじめ自死事件で、大規模校が原因の一つ、教師の多忙、子どもを見る時間がないからだと第三者委員が報告している。
・統廃合で学校が遠くなり、3割が保護者とともに通学。雨の日は車が集中して危険になった。
・PFI、民間委託では、地域の意向が反映されない。
(文責 城)