「第2回連立政権合意書合同研究会」が5月27日に開催され、3名の奈良研究員が参加しました。【介護関連政策】を日下部雅喜氏、【インテリジェンス政策】を山口真美氏が報告されました。
介護関連政策を検証する
日下部雅喜(大阪社会保障推進協議会)
検証する視点は次の3点
・政権合意で変わること ~自民維新政権合意によって「加速化」「重点化」するもの
・政権合意はどのように実行されつつあるか ~合意以降の政策動向
・政権合意は「介護の危機」を解決しうるか
1.政権合意で変わること ~自民維新政権合意によって「加速化」「重点化」するもの
①一層の給付抑制
②保険者再編、機能強化、情報基盤整備
保険者の再編統合 広域連合化、都道府県の役割強化
医療介護保険システムの全国統合プラットフォームの構築
介護保険サービスにかかる基盤整備の責任主体を都道府県とする
従来の市町村主義からの転換
③人口減少化での介護提供体制の縮小・再編
2.政権合意はどのように実行されつつあるか ~合意以降の政策動向
①一層の給付抑制について 給付と負担の見直し ~介護サービス利用者の負担増が重大な局面に
・介護サービス利用料2割負担の対象者を拡大する ⇒第10期計画(2027年度)前に結論を得る
・ケアマネジメントの有料化 ⇒居宅介護支援の有料化は見送りしたが、在宅型有料老人ホームのケアマネジメントは「登録施設介護支援」で利用者負担を導入する(法改正案提出)
・要介護1、2の生活援助等の総合事業移行、保険給付外し ⇒引き続き包括的な検討を行う
・維新の会が強く主張する「利用者負担への金融資産の反映」「所得だけでなく預貯金等も勘案すべき」について、自治体は所得、固定資産は税情報で把握できるが、金融資産は把握できていない。高齢者の預貯金口座にマイナンバーを紐づけすればできるが、まだその体制にはない。 ただ、預貯金が一定額未満のものは申請により1割負担に戻すこととして、被保険者に仮の負担割合証(2割)と預貯金の申請を勧奨する。被保険者からの申請に基づき、保険者(市町村)は提出された預貯金の額を金融機関で確認したうえで、要件を満たしている場合は1割の負担割合証を交付する手法を狙っている。
・「金融資産を多く持っている者から取れ」は国民の受けはいいかもしれないが、預貯金の基準が不明。預貯金の基準を300万円をとする案もあり、預貯金が少ししかなくても2割負担となり、とても金持ちから取るというものではなくなる。
②保険者再編、機能強化、情報基盤整備について、4月3日に提出された「社会福祉法等の一部改正案」及び第10期介護保険事業(支援)計画に向けた基本方針の中で具体化されている。
③人口減少化での介護提供体制の縮小・再編
・中山間・人口減少地域での地域の実情に応じた配置基準や包括的な評価の仕組みが導入可能となる「特定地域サービス」の新設や、地域のサービス提供主体が少ない場合に市町村が事業として居宅介護サービス等を実施できる「特定地域居宅サービス等事業」の創設等を検討している。中山間・人口減少地域の切り捨て、「第2の総合事業」の危険性がある。
3.政権合意は「介護の危機」を解決しうるか
介護保険が直面している3つの危機 「サービス」、「ヒト」、「お金」
①「保険あって介護なし」という重大な機能不全 「サービス」
介護保険料を支払っているにも関わらず、制度上の様々な制約によって利用者が必要なサービスを利用できないという、公的サービスを提供する制度として重大な機能不全に陥っている。⇒ 一層の機能不全に
②打開の方向を見いだせない深刻な担い手不足 「ヒト」
ヘルパー不足と高齢化は極めて深刻。ケアマネジャー不足を理由とした事業所の廃業・閉鎖も相次ぐ。処遇改善をはじめ、現時点でそれを打開する有効な施策は示されていない。また、外国人労働者に頼っているのに、それもできない状況になっている。⇒ 人手不足は解消しない
③保険料の支払い国難が招く財政危機 「お金」
高齢者にとって保険料の支払いが限界にきている。このままでは給付の増大に見合った保険料の設定が困難となる事態になる。それを回避しようとすれば今の政府のやり方では給付の徹底的な削減で保険料を抑えるしかなく、「制度残って介護なし」ともいうべき事態が生じかねない。
大阪の3市(大阪市9,249円、守口市8,970円、門真市8,749円)は1573保険者中、保険料高額上位3つを独占している。3市とも維新が市長だ。維新の無策!⇒ 保険料問題への無策
自民維新連立政権の下での3つの危機にどう対応したらいいのか。介護保険導入で減らした国庫負 担を増やすしかない。制度の見直しが必要。それを進める住民運動が重要と話されました。
インテリジェンス政策を検証する
山口 真美 弁護士
インテリジェンスとは、一般的には人間の知性、知力、聡明さをさすが、ビジネス・政治・軍事的には意思決定や行動に直結する形に分析された価値ある情報をさす。
政権合意書の概要
戦後最も厳しく複雑な国際安全保障環境を乗り越えるためには、日本列島を強く豊かにし、誇りある自立国家として・・・日米同盟を基軸に・・・
インテリジェンス機能が脆弱であり、これに関する国家機能の強化が急務
分析評価 1インテリジェンス政策の目的・ねらい
①機能 ・諜報 外国政府・軍・企業・テロ組織等の情報収集活動 ⇒スパイ活動 ・防諜 国内での外国スパイ摘発、重要施設・企業の防護、内部漏洩防止 ・非公然活動 外国政府の政策や世論に影響を与える活動、プロパガンダ、フェイクニュース拡散、世論工作、資金提供、反政府組織の支援など
②領域 非軍事領域、軍事領域
③手法 人的情報、通信・電波情報、画像情報、測定・特性情報、技術情報、公開情報 現状認識として厳しい安全保障環境の変化に伴い、国力の情報面強化が必須
分析評価 2インテリジェンス政策の概要
①インテリジェンス機構改革 ・国家情報会議、国家情報局の設置 ⇒今国会で成立した
※ 危険な本質
国家諜報機関の設置を組織法によって先行させつつ、情報集積分析の具体的態様を規制する作用法を欠くもので、権力による諜報活動が野放しとなる
何が重要情報なのか、外国情報活動なのか、具体的に記載がない。なんでも対象になる恐れ
人格的価値の集成である個人情報の侵害が深刻 国家によって分析されると国家から見た固有の個人像が構成され、監視評価の対象として再編成される
・対外情報庁の創設 CIAを見本とするなら、CIAがチリ、ベネズエラ、イランで何をしてきたのか確認すべき
・情報要員の養成機関の創設
②対外情報収集分析能力の強化(諜報、非公然活動)
日本政府が国内外でスパイ活動を解禁、日本を欧米並みのスパイ国家へ 維新の論点整理では、情報要員の身分偽装、要員保護の法定化にも言及
③カウンターインテリジェンス強化(防諜)
・スパイ防止基本法
外国勢力による諜報活動自体を犯罪とし、罰する 秘密保護法にも「外国」「スパイ」を組み込む改正を行う可能性がある
処罰対象は「通報」「取得」「漏洩」だが、「スパイ摘発」のキャンペーンになる
通報罪の新設や重罰化の危険がある
「外国が知りうる状態」にすれば「通報」。SNSで拡散したら該当するおそれ 秘密の範囲の拡大の危険(指定秘だけでなく実質秘を加えるおそれ)
現状、秘密保護法別表は網羅的だが、何が秘密なのか指定されている措定秘だ。指定がなければ処罰できない。しかし、指定されていない「秘密の情報」の探り出しや拡散が処罰対象とされる
・外国代理人登録法 外国の利益を代表して活動する者の登録義務、活動・資金の報告義務等
・ロビー活動公開法 ロビー活動(政治的活動)をする個人・団体の登録義務、活動・資金の報告義務等
NGOや国際交流団体はどこまで含まれるのか。広範かつ抽象的であり、恣意的な運用の恐れあり
④起こりうる事態 ・時の権力に批判的な市民、戦争に反対する市民の排除、弾圧へ
「極左の考えを持った人たちが浸透・・・洗い出すのがスパイ防止法」(参政党)
・適正評価、セキュリティクリアランスの拡大 私生活まで監視し報告
秘密扱いからの遮断、そして政府・自治体、民間企業からの排除へ
(維新)国会議員や政府高官に対する「適正評価」、裁判の非公開
・「スパイ防止法」の法制化で市民社会内での「スパイ」の監視や摘発へ
・何が起こるか・・大河原加工機事件、大垣警察市民監視事件
分析評価を踏まえた提言
①本質 インテリジェンス強化、「スパイ防止法」が生み出すもの ・スパイ防止の目的は建前 立法事実はない、既存の法令等で対応は可能
・真の狙い
内外の諜報活動を積極的に位置づける
監視の強化と国民・市民の分断を行い、「スパイ」の烙印で反対勢力の排除 政府を批判する運動も「社会の安定を乱す」ものとして処罰対象へ
デジタル化のもとでの諜報強化の危険性 摘発対象の拡大、排除手段の拡大
・基本的人権と民主主義の破壊、戦争国家づくりの一環
基本的人権の「知る権利」と表現の自由を「国家的利益」を口実に圧殺
強いられるのは国民・市民の沈黙による民主主義の形骸化、そして自滅 戦争国家化(軍事的な緊張の激化、軍需産業拡大)のもとで、反対者・非協力者をスパイとしてあぶり出し、国民と社会を戦争に動員する「臨戦態勢」の社会へ 宮澤・レーン事件・・・対米英開戦日に逮捕 懲役15年
②対抗 ~監視・分断の社会を許さないために
危険な本質を市民に知らせ、反対の声を上げよう 国民を監視し、思想を統制し、戦争に反対する人々を弾圧する戦争動員法だ! 市民をスパイにする監視・分断法だ!
よく日本はスパイ天国でしょうと言われるが、戦争国家づくりや戦争は嫌でしょうと話して対話し、理解を得ることが大切。この夏運動をしないと、来年一気に法案を通そうとするだろう。 地方自治への影響について、国家情報会議に総務大臣は入っていないが、マイナカードをいろんな情報と紐づけしていくかもしれない。
公務員を予備自衛官に登録しやすく法案が出ているが、登録への強制があってはならず、適格性審査が行われる?知り得た情報を直接国へ提供する?招集命令に拒否できない?多くの問題がある。
(文責 城)